満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「ん~、お前がそう言うんならそうなんじゃん?」

イトーは曖昧な返事を返した。

「すごいね~。全然そんなのわかんないょ。」

「マコの親父さん、考古学者なんだ~。」

何故かイトーが自慢気に胸を張る。

「じゃぁさ、それ何て読むの?」

…………………………………。

千草とイトーの期待に満ちた視線が誠に突き刺さる。

「わからない。」

誠は携帯の画面をジッと見つめたままそれだけを言った。

「流石にそれは無理か。」

ハァ~。とイトーは溜め息をついた。

「そりゃぁな。」

誠はポツリと呟いた。

しかし、似たような文字はどこか見たことがある気がしていた。

多分、父親の書斎だろう。

誠の父の書斎には古い本が大量に保存されている。

その中には古代文字で書かれた本も多くある。

誠はその中の一部が読める程度には古代文字に対する知識はあった。

…親父なら読めるかな?

っと、なんで俺、そんなこと考えてんだ。バカバカしい。

誠はフゥと息を吐き出し携帯から視線を外した。
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