満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
「そんなもん、ただの偶然だろ。」

誠は吐き捨てるように溜め息混じりに言った。

「それじゃあ、次は盗まれた物に関してだけど…。」

イトーはそう言いながらキュッキュッっとホワイトボートに何かにを書き始める。

千草もそれを凝視するようにペン先を目で追っている。

……シカトか…?

「まず三ヶ月前、最初にglasses witchが盗んだものは…。」

「一冊の本。」

そう言いながらイトーは最新の折り畳み式携帯を開きデータフォルダから一枚の写真を呼び出した。

「そんでコレがその画像。」

イトーは千草と誠の間に自分の携帯をおいた。

イトーの携帯の画面には一冊の本が写っていた。

赤黒く、ひび割れした表紙。

表紙の下にはそれぞれのページがボロボロで日焼けしているのが画像からでも分かる。

表紙には黒で何かが書いてある。
赤黒い表紙に書かれた黒い字は判別しずらく、何が書かれているか判らない。

「なんて書いてあるの?コレ?」

千草は携帯の画面をジックリと見つめながら言った。

「ん~と、これはねぇ。」

イトーがそこまで口を開いた時。
「古代文字か…?」

誠が口を挟んだ。
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