満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑

3-Ⅲ

「おいこら、マコ。なんでこの前来なかったんだよ。」

「ずっと待ってたんだから。」

大学のいつもの喫煙所、誠は登校後の一服をしていたところをイトーと千草に捕まっていた。

…顔合わせないように時間ずらしてきたのに…。

イトーはホットくとして千草はソレなりに怒っているようだ。

しかし、何故だろうか。誠にはスマナイとかいう罪悪感が一切沸き起こらない。
…イトーといるからかな?

「悪い悪い、ちょっとな。」

誠に悪びれる表情は一切ない。

「で、なんか成果はあったの?」

誠はワザとそう訊ねてみる。成果なんかあるわけないのは毛頭分かりきっていることではあるが…。

「それが、聞いて驚け。」

イトーがニマニマとしている。…キモチワルイ。

「あの晩にさ、俺らあのペットショップの近くにいたんだよ。」

…は?

「そんでよ。何気なく空を見上げたら。」

…まさか…。

イトーのニマニマが最高潮に達している。

それに伴うように誠の心拍数が上がっていく。

…まさか、綾香ネェがイトー達に見られた…?

イトーがポケットから携帯を取り出して何やら操作をしている。

誠の体のなかではドクン、ドクンとウルサイくらいに心臓が音を立てていた。
< 44 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop