満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
いつの間にか誠の横には千草がチョコンと座っていた。

のわっ。

人がいる気配なんか一切感じなかった誠は思わず少しのけぞる。

「ひどいな~。そこまで驚かなくてもいいんじゃない?」

いきなりのことにドキドキとしながら誠は声の主を見る。

少し大き目のニッコリと笑いっている口がその眩しい程の笑みを際立たせている。

間近で見た千草の顔はいつものラフな服装にそぐわないくらい、女という美しさを備えていた。

しばしの間、見とれてしまいそうになる。

「…私の顔、なにかついてるの?」

そう言いながら千草はぺたぺたと自分の顔を触っている。

その動きに合わせて千草の右耳で銀色の小さな棒が揺れている。

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