満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
無響室にもそれを囲む外部屋にも窓はない。

それゆえにこの部屋の中は闇が支配していた。

「停電…か…」

誠はポツリと呟いたまま、光源を探してポケットを探った。

そこで音の鳴る物は…。と言われ携帯は鞄の中に入れたのを思い出した。

マッチは…、と更にポケットを探っているとき、チャリンと何か金属が落ちた音がした。

「……げ」

鍵だったらマズイ、ソレが網目から落ちたら…。

そんな考えが誠の頭をよぎった時、誠はマッチも鞄の中だということを思い出した。

暗闇の中でどこに置いたかもよく覚えていない鞄を探す。

その労力を考えた時、誠は「めんどい」と呟いて手のひらに光を放つだけの炎を灯した。

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