満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
7 新月の夜

7-Ⅰ

その日は直ぐに訪れた。

今は魔女glasses witchとの決戦の時。

夜空には月を除いた星々が瞬きを繰り返し、ことの終焉を見守ろうとしている。

星々に照らされている場所は人気のない山の中。



誠の呼び出しにglasses witchは応じていた。


「二人で来たのね。

誠、それとチェーンの使徒さん。」

クスリ、glasses witchはいつもと変わらない笑いを発する。

中空に浮いた杖に腰掛け、コスプレ紛いの衣装を身につけている。

「黒岡君、二人でいくよ。」

千草は銀の槍を手に取り、自分を冷静でいさせるように静かに落ち着いた声で言った。


「ああ。」

誠はそれに合わせる様に静かに頷き、掌に炎を灯した。


「やっぱり誠はそっちにつくんだね。」

流れを見ていたglasses witchは笑いだす。

可笑しくて堪らないというように。

まるで壊れた玩具のように笑い、

「残念~。」

と微笑んだ。

じっとりとした、癖のある粘着質な微笑み。

それは誠が見たことがない顔、悪魔にとり憑かれていると言って何の疑問も湧かない。そんな顔だった。
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