満月の夜に魔女はワラう 第一部 新月の微笑
glasses witchとの距離は約10m、互いに攻撃に移ろうと思えば可能な距離である。

とは言え誠に出来ることはせいぜい炎を放つことくらい……。

だった、ホンの数日前までは……。


「先にいかせてもらいますよ。」

誠がそう言った次の瞬間、その姿はその場には無い。

ヒュンという空気を切り裂く音を残して誠は移動していた。

空中に浮かぶglasses witchの真後ろへ。

その動きは千草のチェーンのスピードと同じものだ。
そして炎を灯していた掌には赤々と燃え盛る炎が刀状に姿を変え存在していた。

ブォン。


熱風と共に空を斬る炎の刀。

glasses witchは誠が移動し始めた瞬間に下方に移動し、誠の斬撃をかわしていた。

「頑張ったけどオシイね。」

空を斬った誠には、クスクスという笑い声が届けられた。

地面に向かい進んでいくglasses witch。

その着地点には千草が。

「覚悟。」

千草はしっかりと狙いを定めてglasses witchを突く。

が、次の瞬間にはglasses witchの姿は数m先に立っていた。

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