36.8℃の微熱。
 
サラサラ・・・・。


「───カタギリ、っと。よし、行こうか江田ちゃん」

「あ、はい!」


どこに行っても混み混みの館内。

それは人気のパスタ屋さんだとなおのことで、店に着いて早々、名前だけ書いて待ち時間をほかで潰すことにした。

あたしたちの前には10組近い人たちが待っていて、入れるのは30分以上あとになりそうで。

ただ待つのもつまらないから、ショッピングがてら館内を歩き回ることにしたんだ。


「あそこのパスタ屋さん、よっぽど美味しいんだろうなぁ。あんなに並んでるもん。ね、先生!」


明るく明るく、いつも通り。

そう思いながら先生を見上げる。


「そうだねぇ。カルボナーラがめちゃくちゃ美味いよ」

「カルボ!あたし好き〜!」

「そう、よかった。でも江田ちゃんはなんでも好きそうだけどね」

「な!」


それじゃあ、あたしが食べ物大好き人間みたいじゃん。

そう言うと、先生はフッと笑う。

まだ元気がないみたいだけど、ちょっとずつ笑顔が戻ってきた。

なんとなく安心する。
 

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