36.8℃の微熱。
 
お昼休み。

いつものように授業が終わると図書館へ向かった王子を確認して、あたしたちはお弁当を広げた。


休み時間になるたびにユカちゃんに昨日のことを話そうと試みてはみたけど、王子は席から離れず。

結局ご飯を食べながらになった。


「まずは茜ちゃんの感情抜きで事の経緯だけ話してくれる? そのほうが話しやすいでしょ」


そう言って、お弁当にパクつくユカちゃん。・・・・確かに。

なんでうまく話せないんだろうって思っていたけど、言われてみればそうだよね。


朝、校門でユカちゃんを待ち構えていたときは、あたしは自分の気持ちを言おうとして失敗した。

だからユカちゃんは、どうしてあたしが勝手に気まずいのか分からなかったし、昨日何があったのかも分からない。

この半日、だいぶちんぷんかんぷんだったはずだ。


「うん、あのね───・・」


そのことを一通り謝ってから、さっそくあたしは話しはじめた。

昨日の昼休みのこと、王子と先生の一触即発場面のこと。

そのあと家に送ってもらったことや、今朝見た夢のこと。
 

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