36.8℃の微熱。
 
「・・・・まぁ、そんな夢見ちゃったらねぇ。勝手に気まずくなるのも分かる気がするなぁ。タイミングもばっちりだったしねぇ」


全部を話し終わると、ユカちゃんはまずそう言った。

それから一呼吸置いて、さらに言葉を続ける。


「でもそれって、浅野君に失礼にならない? 見ちゃったもんは仕方ないよ。にしても、あからさますぎなのよ茜ちゃん」

「・・・・だよねぇ。反省してます」

「嫌いでもちゃんといいとこあるんでしょ? その先生」

「うん」

「だったらそれを言えばいいんだよ。浅野君が先生を知らないのは当然なんだから」

「おぉっ・・・・!!」


なんて頼りになるんだユカちゃん・・・・いやっ、ユカ様!!

そうなの、そうなんだよ。

王子の言葉は嬉しかったけど、事実あたしの胸はチクッと痛んだ。

王子が先生を知らないのは当然、だったら言えばいい。

そっかそっか、なんだすごく簡単なことだったんじゃんっ!


「ごめんユカ様!あたしやっぱ、図書館には一人で行く!」

「・・・・ユカ様?」

「んじゃ!!」
 

< 144 / 555 >

この作品をシェア

pagetop