36.8℃の微熱。
 
「どうしたのよ浅野君。なんでいきなり猛アタック?」

「い、いやぁ。アタックされてんのかな、あたし・・・・」

「何言ってんの、それ以外にどう見ればいいわけ? 浅野君のハート、今メラメラ燃えてるよ」

「・・・・やっぱり」


と、王子はユカ様もびっくりな豹変ぶりを遂げてしまった。

実は甘々だった王子。

およよ。

あたしは一体どうすれば・・・・。


そして先生は、王子の豹変ぶりよりあたしを戸惑わせていた。

あの日、塾をサボってしまった日から今まで、気持ち悪いほどの静寂を決め込んでいる。


「先生は? あれからなんか言ってきたりしてんの?」

「それが何も・・・・」

「やだ、不気味」

「うん」


居残りは相変わらず続いているけど、それ以外は本当に何もない。

次の日もその次の日も、王子のこともあたしのことも全く何も触れてこなかった。

それが逆に怖いのだけど、いかんせんあたしはこういうところが変に小心者だったりして。

未だ触れられず、どうしたらいいか分からない状況が続いている。
 

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