36.8℃の微熱。
終業式を終えて戻ってきたばかりの教室では、担任の先生の声も通らないほどガヤガヤしている。
通知表を見せ合っている人もいれば、さっそく帰る準備万端の人もいて、みんな夏休みが楽しみでならない様子。
そういうあたしはといえば、実はそうでもなかったりして・・・・。
「お盆くらいは塾も休みでしょ? ちょうど花火大会あるから一緒に見に行かない?」
「・・・・うん、考えとく」
「よろしくね」
今日も王子は絶好調。
真夏の太陽も顔を背けるくらい、キラッキラの王子スマイルでにっこり微笑んでいる。
何も言わないあたしもあたしだけど・・・・この王子、どうにかならないものかな。
いやいやいやっ、人のせいにしちゃいけないよあたし!
ブンブンブンとかぶりを振って、はっきりしないあたしがダメなんだと考えを改める。
やっぱりあたし、生まれながらの浮気性の持ち主かもしれない。
王子の行動は嫌じゃない、だけど先生も気になるなんて・・・・。
自分の気持ちが今どうなっているのか、それが分からないなんて、これが初めてだ。