36.8℃の微熱。
 
ありったけの思考力を使って脳みそをフル稼働させる。

どっちか1つを選択しなくちゃダメな感じですけど、ぶっちゃけなくてもどっちも嫌です、先生。

あ〜あ〜あ〜・・・・。

い〜い〜い〜・・・・。


「う〜、うぅ〜、うぅぅ〜」


そりゃ心の声も出るってもんですよ、横暴すぎですよ。

・・・・あたし、ただ唸っているだけだけれども。情けないけれども。


「ふぅ」


すると、先生は一呼吸置くように短く息をはいた。

そして、前髪をなんともセクシーな感じで掻き上げ、自分のおでこをずいっと近づける。


「ここ、なんで赤くなっていると思う? 江田ちゃん」

「・・・・ぶ、ぶつけ」

「そう。正確。賢くなったね」


はぁ、そうですか。

嬉しくないけど。

っていうか、言い終わる前に口挟まないでもらえるかな・・・・久しぶりにまともな日本語をしゃべったんだからさ。

そんな心の声が届くはずもなく、先生は続けて言う。


「これねぇ、朝の満員電車でぶつけたんだよねェ。発車ギリギリのところでさァ」
 

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