36.8℃の微熱。
 
ジンジン痛むほっぺたをさすりながら、あたしも負けじと反論してみたのだけど。

ユカ様は一枚も二枚も上手で、軽く流されてしまった。

もとはと言えば覚えていないあたしが悪いんだけど・・・・でも、ケッって何気にひどくないですか。


それから少しして、ハァと短く息を吐いたユカ様は、声のトーンを数段落として言った。


「あのさぁ茜ちゃん、本当はこんなときにコントやってる場合じゃないんだよ? 分かってる?」

「分かってマス」

「うん。あのね、あたしは別に茜ちゃんを困らせようとか焦らせようとか、そんなふうに思ってるわけじゃないの」

「ハイ」

「ただ、茜ちゃんには幸せな恋愛をしてほしいなと思ってるわけ。だって、それを願わない親友なんていないでしょ?」

「うん」

「先生でも浅野君でも、ほかの人でも・・・・まぁ、サトルだけはやめてほしいけど、茜ちゃんが心から“好きだ”って思う人とさ」


ユカ様・・・・アナタ、ステキすぎ。

今の言葉、めちゃくちゃ感動だ。

誰かを本気で好きになるって、きっとすごく重いんだろうな。
 

< 229 / 555 >

この作品をシェア

pagetop