36.8℃の微熱。
ジンジン痛むほっぺたをさすりながら、あたしも負けじと反論してみたのだけど。
ユカ様は一枚も二枚も上手で、軽く流されてしまった。
もとはと言えば覚えていないあたしが悪いんだけど・・・・でも、ケッって何気にひどくないですか。
それから少しして、ハァと短く息を吐いたユカ様は、声のトーンを数段落として言った。
「あのさぁ茜ちゃん、本当はこんなときにコントやってる場合じゃないんだよ? 分かってる?」
「分かってマス」
「うん。あのね、あたしは別に茜ちゃんを困らせようとか焦らせようとか、そんなふうに思ってるわけじゃないの」
「ハイ」
「ただ、茜ちゃんには幸せな恋愛をしてほしいなと思ってるわけ。だって、それを願わない親友なんていないでしょ?」
「うん」
「先生でも浅野君でも、ほかの人でも・・・・まぁ、サトルだけはやめてほしいけど、茜ちゃんが心から“好きだ”って思う人とさ」
ユカ様・・・・アナタ、ステキすぎ。
今の言葉、めちゃくちゃ感動だ。
誰かを本気で好きになるって、きっとすごく重いんだろうな。