36.8℃の微熱。
 
憎たらしい。

憎たらしいけど・・・・。





部屋に戻って、少しカーテンを開けて麦茶の続きを飲んでいると、先生が外に出ていくのが見えた。

あたしには寝ろって言ったくせに自分はいいのかよ、なんて。

さっきのこともあって、少々キツめにツッコんでやる。

・・・・かといって、黙々と麦茶を飲んでもつまらないし、ほかに見るものもないし。


「しかたない、観察でもするか」


飲み終わるまで、と決めて、しばらく先生を観察することにした。

なんだかストーカーっぽい気もするけど、気にしない気にしない。


先生の姿を追っていくと、どうやら浜で朝日を見るらしかった。

そろそろ夜明けが近いようで、あたしが今いる部屋の窓からも、水平線の彼方がほのかにオレンジ色に染まりつつあるのが見える。

もうすぐだ。


すると、何を思ったのか、先生は急に砂浜にお辞儀をしながらテケテケ歩きだした。

・・・・は? 朝日を拝むときの儀式か何かか? 自分ルール?

その姿がなんともおかしくて、あたしはフッと笑ってしまう。
 

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