36.8℃の微熱。
 
そうして再び1人になったあたしは、砂浜に腰を下ろしてしばらく海を眺めていた。

日暮れ間近の浜は、太陽が沈んでいくごとに海水浴客の数も徐々に減っていく。

デートのカップルが帰り、家族連れが帰り、お姉サマたちみたいな5〜6人のグループも帰り・・・・。


とっぷり日が沈んだ頃には、浜にいるのはあたしだけになった。

その頃になっても、あたしはなかなか腰が上げられなくて。


「ぶぇーっくしょぃ!!」


夜風に当たりすぎたせいか、とんでもなくオヤジくさいクシャミをしてしまった。

ズビッと鼻をすすって、それでもまた、真っ暗な海を眺める。

海の家に戻って先生や王子と顔を合わせるには、まだちょっと。

その・・・・気分じゃない。


「なんだかなぁ〜、もぅ〜」


ホント、なんだかなぁ、だ。

何も考えられないというか、何も考えたくないというか・・・・。

なんだか今日は1日の中でいろんなことが起きた日で、これ以上何か起きたら、きっと容量オーバーで頭が爆発しちゃう。


「はぁあ〜。戻れないー・・・・」
 

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