36.8℃の微熱。
 
それにしても、ここまで戻らないとそのタイミングがない。

今はあそこがあたしの家なのに、家なき子じゃあるまいし。


───すると。

ピリリリ ピリリリ♪

ポケットの中の携帯が鳴った。

急いで確認してみると、それはありがたいユカ様からのメール。


━━━━━━━━━━━━━
From ユカ様
Sub. 帰還命令(`◇´)ゞ


浅野君は部屋にいるし、
先生はお風呂に行ったよ。
今なら大丈夫。
ご飯食べに帰っておいで☆
━━━━━━━━━━━━━


何も話していないのに、どうしてユカ様には分かっちゃうのかな。

それに、一人にもしてくれて。


━━━━━━━━━━
To  ユカ様
Sub. 了解!


帰還するであります!!
(`◇´)ゞ
━━━━━━━━━━


そう短く返信を打って、あたしはようやく重かった腰を上げた。

風邪、引いちゃう前に戻れることになってよかったな・・・・。

ザザーン、ザザーンと寄せては返す静かな波音を聞きながら、海の家までの道をゆっくり歩いた。
 

< 273 / 555 >

この作品をシェア

pagetop