36.8℃の微熱。
 
マリアンヌさんにもすごく心配をかけてしまって、だから戻らなかった訳を話さなくちゃって。

そう思って口を開いたんだけど。


「いいのよ。青春に苦悩はつきものなんだから。ほら、早く部屋に上がっちゃいなさい。先生、また裸で出てくるわよ〜!」


そう言って、ただあたしのぶんの晩ごはんを持たせてくれた。

商売用じゃないマリアンヌさんの料理は、やっぱり家庭の味で。

一口食べてホッとしたのか、ちょっと涙が出てしまった。





そうして3日が過ぎ、今は5人でテーブルを囲んで朝ごはんを食べている、というわけだけど・・・・。

みんなを見ていると、このまま帰っちゃってもいいのかなって。

そう思うんだ、どうしても。


けれど、思っていても、気持ちと行動が結びつかないときもある。

今のあたしがまさしくそれで、みんなの優しさにもう少し甘えていたい気持ちもある。

先生とも王子ともこのままの関係でいたいだなんて、なんて虫がよすぎる考えなんだって思うけど。

・・・・でもこれが、どっちつかずでズルいあたしの正直な気持ち。
 

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