36.8℃の微熱。
 
あらゆるものを取っ払って心をまっさらにしたとき、ぽっと浮かんできたのは先生だった。

俺様魔王の先生、あたしをからかって遊ぶ先生、なんだかんだ言っても見放さない先生・・・・。

あたしが泣きながら電話をかけたとき、飛んできてくれた先生。

胸の中も頭の中も先生でいっぱいになって、すごく愛しく思えた。


「“好き”ってこういうことだったんだなぁ・・・・」


ベッドに戻ってあんこをぎゅぅーっと抱きしめながら、生まれたての気持ちを確かめる。

胸がキュンってなって、顔を思い出すだけでドキドキして・・・・。


「むきゅー!! あたし恋しちゃったよ、あんこ!! きゃー!!」


そして、わけもなく飛んだり跳ねたり、叫んだりしたくなる。

朝っぱらだろうが夜中だろうが、時間帯なんて関係ないの。

だって好きなんだもん!!


ドンッ!


「茜、うっせーぞ!!」

「しまった・・・・」


お兄ちゃんから壁越しに怒られるまで、あたしはあんこを抱いたままドンパチやっていた。









 

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