36.8℃の微熱。
 
「ま、そういうコトだ」

「・・・・うん」


頷くと、先生はよくできましたとあたしの髪をクシャッと撫でた。

先生にとってはなんでもない、こういうスキンシップにドキドキしちゃうのは言うまでもないこと。

けど、やっぱり聞きたい。


「サトルさんが連絡できない理由って一体なんでしょうか。別れてくれない彼女がいるとか、親に反対されてるとか?」


手ぐしで髪をとかしながら、考えつく“理由”を並べてみる。

親の線は薄いかもしれないけど、しつこい彼女の線ならあり得そうなんだけど、どうかな。

それに、同じ男性の先生ならサトルさんの気持ちが理解しやすいんじゃないかと思って。


「う〜ん、江田ちゃんもなかなか引き下がらないねぇ。・・・・言っても分かんなくても聞きたい?」


すると先生は急に歯切れが悪くなって、席を立ち、ベランダへ。

居残りのときは必ずと言っていいほどお馴染みの、一服タイムだ。


「知ってるの?」

「まぁね。俺もだから分かる」

「“も”?」

「あー、聞きたい?」

「うん」
 

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