36.8℃の微熱。
 
なんだか少し切なそうに笑って、先生は「だってさ」と続けた。


「こっちは大学生、かたやこっちは高校生。・・・・彼、高校生に手を出してもいいのかって悩んでた」

「そんなの関係ないんじゃ・・・・」

「いや。好きだから気持ちを受け止められないことだってある」

「なにそれ、意味分かんない」


お互いに好きなら、我慢しないでくっ付いちゃえばいいのに。

“立場”なんていうものに縛られていたら、何年経っても気持ちを伝えられないままじゃない。

早く生まれたからとか遅く生まれたからとか、そういうので立場が決まるんだったら、先生とあたしなんてもっとダメじゃん。

永遠に一方通行じゃんか・・・・。


先生に遠回しにフラれたような気がして、あたしは机に乗せていた手にギュッと力を込めた。

手の平に爪を立てて、その痛みで緩みかけた涙腺を閉めるために。


「だから言ったでしょ。分かんなくても聞きたいかって」

「・・・・聞かないよりはマシ」

「強情だねぇ」


そうだよ、あたしは強情だよ。

なによ。ふん、だ。
 

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