36.8℃の微熱。
じゃなくて、えーっと・・・・。
う〜んと頭をひねりながら、だいぶ薄れかけてきている半年前の記憶を呼び起こしてみる。
確かあれは“紙の上の数学なんてつまらないでしょ?”と、居残り中、先生が無理やりあたしをラーメンに誘ったときのことだ。
で、細田さんに紹介するとき先生はあたしのことを“ドベ子”と言って、初対面のはずなのに細田さんもゲラゲラ笑って。
それで、頭にきて先生の悪口をこれでもかとぶつけたんだ。
「・・・・ああ、今思い返してもハラワタが煮えくり返りますねぇ」
「ははっ。今の茜ちゃん、そんな顔になってるよ。でもね、実はあれもそうなんだよね」
「はっ!? あれも!?」
「そうだよ? 柊の愛情表現はちょっとつき合ったくらいじゃ分からない、とも言ったでしょ? そのときのもさっきのも、不器用なりの柊の照れ隠しだよ」
「・・・・」
いやいやいや。
分かりませんよ、細田さん。
確かにそうとも言っていたけど、先生の愛情表現、人並み外れて不器用すぎやしませんか?
あたしにはどうにも判断が・・・・。