36.8℃の微熱。
顔を上げると、ちょうど「参ったなぁ〜」と言ってポリポリ頭を掻く細田さんと目が合って。
あたしもなんだか恥ずかしくなって、同じように頭をポリポリ。
ちょっと微妙な空気が流れた。
「・・・・じゃあ、茜ちゃんにとっては“大したこと”の柊の攻略法、教えてあげるから耳貸して」
「はい」
「あのね───・・」
でもそれはすぐに消えて、ヒソヒソ話のときのように耳を突き出し“攻略法”を伝授してもらった。
「え? そこを見るだけで愛情表現かイヤガラセか判断できちゃうんですか? そんな単純にできてないですよ、あの人・・・・」
「いや。ああいうヤツに限って案外そうなんだよ。試しにさ、帰りに柊が照れそうなことを何か言ってみるといいよ。絶対だから」
「ホントですか?」
「ホントホント」
本当かなぁと疑わしく思うあたしに反して、細田さんは自信満々。
ニコニコ笑って、ハムみたいな手であたしの頭をポンポンとする。
「そのコツさえつかめれば、茜ちゃんはもう無敵。思いっきり柊を振り回してやんな」
「はぁ」