36.8℃の微熱。
 
「いえ!あたしには大したことですからっ!先生のことはなんでも知りたいんですっ!!」


なんとかして頭を上げさせようとする細田さんには悪いけど、頑として譲らず、そう言った。

すると、無理だと諦めたらしい細田さんはあたしの肩から手を離して長いため息をつく。


「・・・・好きなんだね、柊のこと」

「はい!」

「アイツ、かなり手ごわいよ?」

「覚悟の上ですから!」


なんでもっと早く気づかなかったんだろうって、今さら後悔だ。

“分からない、分からない”って受け身になっていたら何も始まらないんだ、知りたんだったら行動しなきゃダメだったんだよ。

待っていたって先生から教えてもらえるワケじゃない、聞いても答えてもらえないだろう。


「あんなののどこが好きなの?」

「俺様なところ!」


だからこそ、先生を知っている人から教えてもらわなきゃ。

自分だけの力で全部分かろうなんて、あの俺様魔王がさせてくれるはずがないんだから。


「あはっ。こりゃ重症だわ・・・・」

「はいっ!重症ですっ!!」
 

< 440 / 555 >

この作品をシェア

pagetop