36.8℃の微熱。

好機と転機と

 
それから2週間ほどが過ぎた、冬にしてはやけに空がキレイに晴れ渡っていた日のこと───・・。


「よっ、久しぶり!」


放課後。

塾に行くため学校を出ると、校門のところで思わぬ人と出会った。

あたしのほうからだと、ちょうど校門の裏に隠れる形になっていて全然気がつかなかったんだけど。

そう声をかけられ顔を上げたら、バイクに寄りかかってニコニコ笑っているある人と目が合った。


「・・・・えっ!? サトルさん!?」

「ピンポーン!夏以来だよね? 俺の顔覚えててくれたんだ?」

「はい、まぁ」

「いやぁ嬉しいなぁ。んじゃさ、嬉しいついでにデートしない?」

「・・・・はぁぁぁっ!?!?」


そして、ひとたび口を開けば意味不明なことを口走るサトルさん。

ねぇねぇサトルさん、あなた・・・・デートに誘ったり迎えに来る相手を間違えてやいませんか?

それも“だいぶ”ね。

あたし、ユカ様じゃないですよ。


「しーっ!大声出すなよっ。まだ不審者になりたくないからっ!」

「いやいや、だって!」
 

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