36.8℃の微熱。
 
なんでこんな非常事態のときに会っちゃうかな、もーっ!!

この人の話は長くてネチネチしていて大っ嫌いだっていうのに!!


「・・・・っていうか、先生こそこんなところで何をしてるんですか? かわいい生徒たちが待っているんじゃないですか?」

「ん? 今日は休みー。っていうか、江田ちゃんこそ何を?」


早くこの場から立ち去りたくて適当に話題を振ってみたけど、逆に質問をされてしまった。

絶対にあたしの心の中は読めているはずなのに、間延びした口調で引き止めようとしたりして・・・・。

もうっ、大っっ嫌い!!


「あ、あたしは別に。特に何もしてませんけど!」


“イーッ!!”ってなりそうなになるのを必死でこらえ、何食わぬ雰囲気を作ろうとするあたし。

「携帯を落としちゃって・・・・」なんて正直に言おうものなら、バカにされるのは目に見えているし。

ここは一つ、穏便にこの人の前からさっさと消えたい。

けれど・・・・。


「じゃあ、さっきから木の陰とか路地の間とか、何かを探してるように見えたのは俺の気のせい?」
 

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