蝉時雨を追いかけて
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朝7時55分、おれはテニス部の部室にいた。
9時から練習開始なのだが、顧問であるゲジから昨晩電話があり、他の部員より一時間も早く呼び出されたのだ。
おかっぱも呼び出されているはずなのだが、まだきていなかった。
昨日の夜、なにかあったのだろうか。
そんなことを考えていると、部室のドアが勢いよく開いて、おかっぱが飛び込んできた。
「オイ、拓海!」
「遅いぞ。はやく着替えろ」
「それより、あのふたり、また進展があったみたいよ」
「拓馬と北村麗華か?」
「そうよ。部長とマネージャー、昨日の夜ついにチューしたらしいわ」
やはり、だれかがあのふたりを見張っているのだ。あの写真を撮っていた人物に違いない。