アリスと白うさぎ -前編-
「顔ぐらい、思い出せっつーの…役作りも軽くねぇな」


ボソッ

青空の下で俯く金髪ヤンキーくんが言ったことを、あたしは知る由もない。




「澪姉っ!」


翔に呼び止められて、走るのをやめた。


「大丈夫?」


少し息を切らした翔が優しくあたしに話しかける。


「うん…はやく学校行かなきゃ遅れちゃうよ!転校早々遅刻はやだもんねっ」


あたしは翔に顔を見せないように歩き出した。

怖くて泣いてるわけじゃない。

さっきのことが頭から離れないだけ。

気にしないわけないじゃん!

ちゅうしたなんて…

囁いたなんて…

絶対に認めないんだからっ!

何か…あたしの心の中でありえないこと、起きてる気がする。

…そんなわけないかっ。


「澪姉、学校で何かあったら…言えよ?」


翔が大股で歩くあたしに言った。

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