愛されて

「遥香…帰るよ」
ママが迎えに来たのは…お昼過ぎだった。

リビングでテレビを見ている私を見て。
ママは…

「あれ…遥香、井上先生は？」

「実はね、昨日…遥香、熱が出たから。井上先生は断ったわよ」

「えっ!?熱ぐらいで断ったの？」

ママが言う。

「だって…38°近くもあったから、家で様子を見ていたけど…39°に上がったら、昨日、拓也さんが病院に連れていってくれたのよ。注射したから、熱は下がったけど…ムリはしない方がいいから…」

おばあちゃんが言った。
ママが私を怒らないように…
病院に行ったとか。
ウソまでついてくれた。
「拓也さんに会ったら、お礼を言っといてね…」

「で？歩香姉ちゃんは？」

「歩香たちなら…3人で散歩がてら…お買い物に行ったわよ…」

おばあちゃんが言った。
「じゃあ、私たち帰るから…お母さんから歩香姉ちゃんたちによろしく言っといて…」
ママはそう言うと、私を連れて家に帰った。