ろく

秋が過ぎ冬になった。

雪が降っている。

あの路地も真っ白な雪に覆われていることだろう。

私はいつの頃からか、あの路地へは行かなくなっていた。

ろくのことを忘れたんじゃない。

何度行ってもろくに会えない寂しさは、私の中で結構なウエイトを占めていたんだろう。

降り積もる雪のように、しんしんと私の中に積もっていっていた。

だから、私はあの路地へ行けなくなっていた。
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