男装ホスト.Lie ~私の居場所~
思ってもいなかった人の来訪に、一瞬躊躇ってしまう。
だってドアを開けて現れたのは、うちのメンバーにも負けないくらい顔の整った男の人だったから。
『あ、…えっと、いらっしゃいませ…』
「…」
一応、そっちの人なんかなと思って声を掛けたんだけど……
返事もしないし、警戒心剥き出しで人の事ジロジロ見よるし、何なの?
『えっと、お客さ』
「客ちゃうわ」
低くも高くもない通る声がそう応える。
客じゃない?
だったら…
『じゃあ…入店希望者の方ですか?』
「はぁ?」
明らかに気分を害したように、只でさえ猫みたいな目がつり上がった。
客でもない、入店希望者でもない、だったら何なのよ?
「…お前は何や」
『この店で働いてる者ですが』
「お前が?ここで?」
『…何でですか』
何で初対面の男にこんな敵意剥き出しされなあかんねん。
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