最後の恋はアナタの隣で
昔の春樹さんがどんな人だったのか分からないけど、今の春樹さんを見る限り、こんな車に乗るような人には思えない。


でもきっと“そういう”人だったんだろうなって思うと、春樹さんの過去を全く知らない事に、少しだけ寂しくなった。



「――で、何があったんだ?」

春樹さんの横顔を穴が開きそうなほど見つめてたら、不意にそう聞かれて体がビクッとした。


春樹さんが何の事を聞いてるのか分かってはいたけど、


「……え? 何が?」

話したくなかった私は分からないフリをして、春樹さんから視線を逸らす。


「早く帰りたいって言った理由だよ」

「あ……あぁ、それ? 何もないよ? ただ気分が悪くなっただけ」

「涼。怒るぞ?」

「……」
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