最後の恋はアナタの隣で
「はーるーきーさーんー、なーんーでー、」

「分かった! 分かったからそのお経みたいな喋り方やめろ!」

私の頭を軽くポンポンと叩いた春樹さんは、再びふぅっと息を吐き出し、鼻の頭をかく。


視線は定まっていない。

私が真っ直ぐ見上げてるっていうのに、春樹さんは私を見てくれない。


そして。


「他の男と喋ってるのを間近で見るのはけっこうキツイもんだ」

少し早口でそう切り出したかと思うと、春樹さんはそのペースを保ったまま、


「売れるって事はその分、涼の客が増えるって事だろ? そうなると、店内で客と喋ってる涼を見る回数が多くなる。俺、今だってあんま良い気はしてないんだぞ? それなのに客が増えたりしたら、嫉妬で仕事どころじゃなくなる」

一気に言葉を吐き出した。
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