最後の恋はアナタの隣で
依然、春樹さんの視線は定まっていない。


それを見て……思わず顔がニヤけてしまう。


春樹さんはいつも余裕なんだって思ってた。

私が他の男の人と喋ってるのなんて、屁でもないんだろうなって思ってた。


だって、営業中の春樹さんは全くそういう雰囲気を醸し出してない。


常にニコニコ笑ってて、嫉妬してるなんて雰囲気を微塵も感じさせない。


だけど、本当は嫉妬してたんだ。


春樹さんとお店の女の子が喋ってるのを見て私が嫉妬してたのと同じように、春樹さんも嫉妬してくれてた。


それが何だか――凄く嬉しい。


「おい、笑うなよ。恥ずかしいの我慢して喋ったんだぞ」

「あっ、ごめん! 嬉しくてつい」

「嬉しい?」
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