億万色Love
"宜しくお願いします"
最後はあんなふうにごまかすけど、香留が本気なの私は知ってる
分かってるよ
こちらこそ精一杯、協力させてもらいます
「お客さん……ちょっと前に乗った子だよね」
「……え?」
運転手さんがルームミラー越しに話しかけてきた
ちょっと前に乗った子…?
「そうそう!君だよ君!間違いない。東区の交差点から南区の**丁目まで乗った時の子だ。たしか夜中で、その時はもうひとり男の子がいたでしょ」
「……あ」
思い出した
ちょうど引っ越してきた日、香留のいざこざのせいで2時間かけて東区まで行ったんだ
帰りは陽介くんと一緒で…
先に降りちゃって、私が全額出した
あぁー、やっぱりムカつく
「これ、多分お客さんのだから受けとってもらえるかな」
「はい?」
信号が赤になった時、運転手さんが一つの茶封筒を渡してきた
反射的に受けとってしまった私は、その封筒を眺めた
「これ…何ですか?身に覚えないですけど」
「はは…やっぱり予想通りだ。それお金だよ。1万円入ってる」
「え!?お金?!」
なぜ…?
「あの日の忘れものだよ」
「あ、あの…私こんなの知らないんで、お返しします」
慌てて返そうとすると、運転手さんは微笑みながら答えた
「そのお金は、この前一緒に乗ってた男の子のだよ」
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