億万色Love
「君が降りた後、他のお客さんが乗った時うしろの座席にそのお金が置いてあるのを見つけて僕に渡してくれたんだ。君たちが乗る前に一回車内掃除をしてるし点検もした後だったから、そのお金は君たちどっちかのものに違いはないんだ」
「………?」
どういうこと…
「でも君は、そのお金を落としたり無くしたりした記憶はないんだろ?」
「………はい」
「だったら、あの男の子のものに間違いないさ」
「あ…そうですか。じゃあ渡しておきます。ありがとうございます」
よく分からないけど、とにかくこのお金は陽介くんの落とし物なんでしょ?
「あ、でもそのお金は…」
「…?」
またまた微笑む運転手さん
ミラー越しに目が合い、私は首を傾げた
「それは落とし物じゃなくて、君に渡すつもりだったんじゃないかな」
「へ?!」
「彼はそれをタクシー代に使え、って意味で置いていったんだと思うよ。その封筒には僕が入れたんだが、見つけた時はそのままだったらしい」
しばし考え込む私
運転手さんの話しは止まらなかった
「だって君、彼が降りた後、血相変えた顔で怒ってたみたいだし、あれ"タダ乗りしやがってー!"って意味でしょ?会計の時も残念そうな表情だったしね」
血相変えた顔って……
見られてたんだ
恥ずかしい……ー
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