億万色Love



陽介くんは秀才だからな


大学でも注目されてる存在だし


連は正解だ………………

……………ぁ?



陽介くん…?


私は食べる作業を止めた



「え……"今"勉強してるの?」

「へ?」

「連と陽介くんは、"今"勉強してるの?!」


「う、うん、そうよ。急になによ、それがどうしたの…?」


バンッ……!


思わず立ち上がってしまった私


その反動でテーブルの上の食器たちがうるさく鳴った


「なんで言わないの!」

「え!?な、なにを…。凜、なに慌ててるの?」

「留守って言ったじゃん、春人くんの用事で条地家はいないって。だから…」


だから……
"少しでも早く"って気持ちを抑えたのに…


「陽介くんは行かなかったのよ。連のこともあるけど、自分もすることがあるからって残ったの。だからって凜がそこまで焦る必要ないじゃない…?!どうしたの…」


「もぉ、早く言ってよ!!!ご馳走さま!」

「えっ!?ちょっと凜?!」



そんな急ぐ必要なんてない


母さんに怒る必要もない



なのになんでだろ


この焦る気持ち

この胸の高鳴り


走ってる自分の足を止めることもできない


陽介くんがいるって分かると、急激に行きたくなった


急激に会いたくなった




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