億万色Love
「あのね亮、私らこれから用事があるの。急いでるからさ」
私が二人の間に入り
「用事?…そっか、分かった」
犬と猿を引き離した
しかし、一度噛み付くと離さない犬は
「ふん…ほらね、邪魔はアンタだっつの」
「………なんだとぉ?」
一度暴れだすと治まらない猿のお尻にまだ噛み付く
ギャーギャー静まらない二人
周りの目が二人に集中してるなか、困り果てた私は額に手をあて、ふと外に視線を移した
あ…
私の目に映ったのは
校門付近にあるベンチに腰掛ける陽介くんの姿だった
陽介くんは腕時計を見たあと、立ち上がり校門に向かって歩きだした
鞄持ってるし……帰るのかな?
「みて!条地先輩♪」
「どこ!?」
「あっちあっち!」
「やばい!やっぱかっこいいね!!」
突然、横から聞こえてきた奇声
私と同じクラスだと思われる三人組の女の子たちは、陽介くんを指で指し、はしゃいでいた
"条地先輩"
なんか……新鮮だな
青春って感じ。
なんてノンキな私は次の瞬間、体の上半身を後ろからガラスの窓に押し潰された
「条地っ!?って陽介くん?!」
私を潰していることにも気づかず、必死に外を見渡す香留
痛い……んスけど………
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