億万色Love
「飯。帰ってんだったら食べに来いよ、バカ」
ば、ばかぁ!?
「な、な、なんでここにいるのよ!!だいたいノックもしないで勝手に入ってこないでよね!」
「……開いてたぞ、ドア。わざわざ呼びにきてやったんだ、叫んでないでさっさと来い」
「ちょっ…!」
"わざわざ"
…一言一言がなんとも憎たらしい
やっぱりこんなやつ香留になんか渡したくない!!!
「どいて!」
前を歩く陽介くんを抜かし、階段を一気に下りる
あんなやつ簡単に抜かしてやる
勉強でも私生活でも、私が上になってやるっ!!!
ふん…
香留に好かれただけでも有り難いと思いなさいよ!
陽介くんよりも先に条地家に入った
「おじゃましまーす…」
後ろを見ても、まだ陽介くんはいなかった
どうせまた気取って歩いてるんでしょ
声が聞こえるダイニングに向かった
「凜、おかえり。早く食べなさい」
「うん」
そこに、おじさんの姿はなかった
まだ帰ってないみたい
それ以外はみんな揃って………‥?!
「………な、なんでいるのっ!?」
そこには、私よりも先にいるはずのない陽介くんが座ってご飯を食べていた
「いちゃ悪い?」
「なんで…‥…‥」
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