億万色Love




午後の授業も終わって、今は放課後


「…疲れた」


見学するだけって言っても、頭は使うし

移動教室なんて、10階上の教室だったり…


また違う授業の移動教室では、迷子になって遅刻したり……


とにかく、体全体が疲労を訴えていた


"噂も何かの間違いだったのね"


考え事も増えたし……


全く話が分からない…

中西紗希って人は、何を聞いたのかな


私と陽介くんが、どういう関係なのか、その噂が気になって仕方なかった


「あ、あの人じゃない?」

「うそ?あの人?」


………?


「でもさ、ほんとなの?」

「知らなーい」


……なに

私のこと…?


誰かとすれ違う度に、同じような言葉が聞こえてくる

確か、朝もみんなの視線が私に集中してるような気がしてた


"噂"

初日早々


こんなに注目されることって……

有り得ない…!



「あ、凜ちゃん!!」

「……うわっ!?」


足早に歩いていた私は、急に腕を掴まれて、私の足に急ブレーキがかかった


「ちょうどよかった。これを陽介に渡してくれないかな。わしはこれから会議なんだ。」

そう笑顔で言うのは、おじさんだった


「びっくりした…おじさん…」

「ごめんごめん。じゃ、これ至急渡してくれ。頼んだよ、凜ちゃん」

「え…」

茶色い封筒を渡され、おじさんは行ってしまった


これ……


私が渡すの?




< 60 / 179 >

この作品をシェア

pagetop