億万色Love
陽介くんがどこにいるのか分からない
朝、家の前で会ったのが最後
ここで陽介くんを見てもいない
手に持つ封筒を見つめ、ため息をもらした
おじさん行っちゃったし……
……探して渡すしかないか
「やっぱり本当なんだよ!」
「みたいだね」
「すごいわ〜…」
また周りから聞こえてくる声に、私は苛立ちがつのった
ここの生徒はこんなのばっかり?!
………ったく。
噂かなにか知らないけどさ、気になってジロジロ見たり、本当かどうか知りたいような態度とるなら、正々堂々と本人に聞けばいいじゃん!!
その本人になってる私が1番気になってんだから……
グシャ…
つい手に力が入り、持っていた封筒が変形してしまった
封筒を綺麗に伸ばしながら、どこにいるか分からない陽介くんを探しはじめた
しばらく探したが、どこにも陽介くんの姿はなかった
"夜遅くまで教室で勉強してる"
"五階の渡り廊下の階段が直人くんの休憩場所"
"理事長室の手前の開かずの間が実は陽介くんの専用部屋"
"送迎は専用ジェット機"
あちらこちらで聞こえてくる陽介くんの会話
何気に聞き、教室や階段、理事長室の手前の部屋に行ってみたが、どこも不在だった
っていうか、信じた私がバカじゃん…
"開かずの間"なんて簡単に開いちゃってるし
そもそも"専用ジェット機"って……
家にそんな機能なかったよね…?
.