≡イコール 〜霊能力者へ 『霊視1』より~
「ああやって 何度か『供養』を繰り返すのは 実はあれは『約束』をしているの」

「約束?」

「そう・・・ 『あなた達を苦しめた人に関わる人に 供養させますから!』

『あなたたちも いつまでも そうやって『成仏』も出来ずに 誰かを恨み

彷徨い続けるのは 辛いでしょう』

『だから あなた方を苦しむ原因になったものを 見せて下さい』ってね

それを 何度か 繰り返して『あちら』の『信用』を得るのよ」


「・・・『あちら』・・・って」


「『悪霊』と呼ばれる『霊』のことよ

『悪霊』に対して『善霊』も勿論いるわ

でもね

『善霊』『悪霊』なんてものは そもそも

『人間の都合』で『区別』された呼び方なんだけどね」


「人間の都合?」


「そうよ 人間なんて『勝手なもの』よ

自分は『やりたい放題』人を殺しておいて その魂が『霊』となって仕返しにくると

『たたり』だの『呪い』だのと 大騒ぎするわ

そんな時『悪霊祓い』などで 霊をもっと逆鱗に触れさせておきながら

きちんとした『供養』もしてあげず 追い払うだけの事がほとんどだわ

勿論なんとか霊を祓って 天寿を全うした その人間も 魂だけになるのだけど

人に『恨まれるような事』をしておいて 魂だけになったものだから

そのまま『地獄界』へ行くの」


『地獄って・・・やっぱりあるんですか?』


「ええ・・・恐ろしいところよ・・・」


日村 令子は 遠くを見た

この人は 『地獄』を見たことがあるのだろうか…

オレは いつの間にか 日村 令子の話に 呑まれていた


「それに対して 『善霊』は人間に対して『無害』な霊を指すわ

勿論『善霊』は『無害』なだけではなく 『悪霊』を『成仏』

させる為に一生懸命 頑張っているわ」


『頑張る?何のために?』


「あのー 質問していいですか?」

「どうぞ」

「なんで 『善霊』はそんなに『悪霊』を成仏させたがるんですか?」


日村 令子は 面白そうにこちらを見た


「あら そのセリフ・・・『成仏』させようとする『悪霊』から

よく聞く言葉だわ」
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