セピア
第2章‐取調べ
 壺田峻甫(つぼた しゅんすけ)30歳。仕事は車で食材を各地域のお店に配達する業務に就(つ)いている。
この不況で会社側が大幅な人員削減を行ったために、御多分に漏れずその分のノルマが残った者達に皺寄(しわよ)せがきて、峻甫は毎日激務が続いていた。なので最近の峻甫は例年以上に体がクタクタに疲れきっていた。

 早朝の4時過ぎから6時位の間に家を出て、1日8時間労働の上にサービス残業も有りのそんな生活を送っていたので、峻甫もここのところ暫(しばら)くは睡眠不足が続いていた。

 この時まさに峻甫の瞼(まぶた)は閉じようとしていた。なので峻甫は小刻みに襲って来る睡魔と必死になって戦っていた。
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