待っていたの
「私はあなたの妻になるしか価値のない女ですから……構いません」

俯きボソボソと小声で話す彩。


「彩?許してくれるのか?俺も焦っていたんだ」

「許すもなにも…陛下のお心のままに」

どこか諦めてしまった様に話す彩を見つめる白夜。

もう…彩は此処に居たくないのだ。

自分が惨めになる。
身体を両手でギュッと抱きしめ俯く。


考えるのは、なぜこんなことになったか。


(自分が恨めしい…。いやだ…こんなの、この人の所にいるの)





そうして宣言通り、彩を抱かずに王宮へ戻った。


そして、官吏から祝福の言葉がかけられる。


先ずは男女の奴隷が平伏し、長が変わって言祝ぐ。


その時だけ微かに笑う。
下位の者から挨拶をしてくる。
中盤に差し掛かり、学校の成績優秀者数名も挨拶に来る。


その時彩は、目を合わせない様に俯いた。


「疲れたか?」

彩にしか聞こえない位の声で話す。
外宮の玉座の紗は開けられている、今日は誰でも顔が見られる日なのだ。



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