待っていたの
彩は来てはいけなかったのではないだろうか。
何の用事があったのだろうか。

「ご用事は?」

「ああ、明日でもよかったんだけど…ね」

黒麗はちらりと部屋の外に意識をやる。

「人気があるんですよ、男に」

女が彩を呼びにやる訳ない、護衛の者が翠翠に伝えて大急ぎで連れて来たのだ。栄達の白夜を煽る、言葉選びも抜群だ。

月妃である彩に第一子を産ませた方が、ゴタゴタも少ない。


「コレがうちの、繋ぎね」

コレと言われ指をさされても、無表情で彩の方を向きもしない。



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