七狐幻想奇譚

外に出れば、太陽が容赦なく照りつける。これでも都会の暑さよりはかなりマシなのらしいが、桃花は都会などテレビでしか見た事がない。　　

コンクリートだらけで、車や人が多く住みづらそうに思った記憶がある。



「一度くらいは行ってみたいかも」



おしゃれなお店で売られている服やスイーツ、雑貨の特集がやるとついつい見てしまう。自分には縁のない世界だとわかっているが、やっぱり女の子なんだなと実感する。



狐火の町に好んで遊びに来る物好きはいない。田舎で、スポットらしいスポットもなく、あるのは田園風景と神社。



願いを叶えてくれるらしい狐の存在と、伝統の夏祭りが人を呼ぶのだ。



畦道を小一時間くらい歩くと、狐の嫁入りと大きくかかれた木の看板が見えてきた。