ブルービースト
──…どういうことだろうか。



(………覚悟?)



何の、とは敢えて言わずにユノは訝しげな視線を送る。


しかしこれだけは嫌でもわかった。



この隊長はふざけてなどいないし、本気だ。




「よし、そうと決まれば今から行こう。ちょうどいい時間だしね」


「今から…?仕事は??」


にこやかに話す中将に補佐は今度はキツイ目を向ける。


しかしブロードは帰ってからするよ、とあっさり言いやがった。



まぁこうやってやろうとはしていたみたいだし、サボったら強要させよう。


そう決めたユノは頷いて了承する。



「じゃあ…ユノは今軍服だけど着替える?」


「あ、はい」



普通はブロードも軍服を着ている筈なのだが。


しかしそれを注意することはなく、ユノは綺麗に彼に流されパタパタと執務室を出ていった。



その場に残されたブロードは、俺も着替えようなどと溢しながらポチを床に下ろす。



「はぁ、間に合った…よかった」


「くぅん」


「意外と結構もちそうだね」



自分の手を見つめながら呟く彼。


ポチはその足に擦り寄ってピタリと貼り付いた。



「…大丈夫だってば、ポチ」


そう笑うブロードはスタスタと扉に向かい歩く。




バタン、と扉の閉まった音が、嫌に静かな執務室に響いたのだった。





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