ブルービースト

ーⅡー


「これって…」



私服に着替え、ブロードに連れられるままにただ歩いたユノ。


彼女は現在、困惑しながら目の前の建物を見上げていた。




「何してんのユノー、入るよ?」


「えっ、あ、はい」


ポチを入口の傍に繋いできた隊長は、何食わぬ顔で歩みを進める。


ユノは慌ててその後ろに続いた。




「あ、あのっブロードさん」


「うん?」


「ここ…」


「うん、病院だよ」



にこやかに言うブロード。


しかしユノは訳がわからず混乱した。


──…何故病院などに毎日…?




「もしかして…どこか悪いんですか?」


「ううん」


へらへらして言う彼の真意が掴めない。


?マークを飛ばすユノを他所に、ブロードはボタンを押し壁に凭れてエレベーターを待っていた。



「あら、ブロードさん」


そんな彼に話しかける女性が一人。


やって来たエレベーターに乗り込みながら、ブロードは看護師らしきその人に会釈をした。


…素晴らしい笑顔付きで。



頬を染める看護師さんにユノはまたモヤモヤしたものを抱いた。




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