ブルービースト
「今日もかしら?私今から違う患者さんのところに行くんだけど」


にこにこして話す看護師さんの視界には完全にブロードしか入っていない。


ユノはむすっとしてそっぽを向いた。



「お疲れ様です。俺は今日もだけど今日は特別だよ」


お得意へらへらスマイルのブロードは、そう話すと隣のふてこい女を指差す。


指差されたユノの方は彼を横目で見るだけで何も言わない。



「あれ…彼女?」


看護師さんは少しがっかりした声で訊ねた。


…何ともわかりやすい。



「えっと「違います」


ブロードが説明する前にユノは自分から否定した。



(誰がこんなサボり魔…)


そんなことを思う彼女は、自分が必要以上にイライラしていることに気が付いていない。



「あ、じゃあ」


エレベーターが6階につくと、ブロードは看護師さんに挨拶をして乗り物を降りた。


それに着いていくユノはふて腐れたままだ。



「…ユノ?な、何か怒ってる??」


待ち合い室らしき場所に向かいながら、ブロードはビクビクして訊いた。


殴られてここに入院なんてことにはなりたくない。





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