ブルービースト

「それにしても、ブロードさんリシアに好かれてますね。」


ユノは呻いているブロードに慰めの言葉をかけることなく、不意にそんなことを言い出した。


涙目なブロードは突っ伏したまま顔をユノの方へ向けると、



「そうかな?」



などとはぐらかす。



ユノはそこで引き下がらずに、逆に自分が出した話題に食い付いた。




「そうですよ。最初からこんなんだったんですか?」


「ん~…。第一にリシアが来た時は違うかったと思うけど」


「ブロードさんの方が先に第一にいたんですね」



一つ情報ゲット。



やっぱり何事もチャレンジだ。



ユノはそのまま話を続け、あのことについて訊こうと考えた。




しかし、そんな思惑は破られる。






「ブロード!」






────どでかい声を出しながら扉を勢いよく開いた、図体のでかい男によって。









「あ、アサギさん。今日もうるさいですね」



ブロードはずかずかと歩み寄ってくる男性にやる気のない死んだ魚みたいな目を向けると、自分の上司に向かい何とも失礼なことを言いやがった。



ユノは男性を見て目を丸くする。




男性の名はアサギ=レイウォン。


ブロードよりお偉いさんな位置、『大将』として軍に君臨している超実力者だ。





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